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1 企業の中で働く従業員にとって、労働条件、労働環境を良くすることは最大の課題です。
第二次世界大戦後、労働者の労働条件、労働環境は大幅に改善され続けてきましたが、いまだに、労働基準法等の労働者保護法制を遵守しない企業が多く存在しています。
時間外手当の支払いを怠るサービス残業、法定労働時間をはるかに超える長時間労働、それによる過労死等の悲惨な事例が多く報道されています。
中には時間外労働に関する労使協定すら締結していない会社もあります。
法律を守らない企業に対して法律を守るように要求するのは労働者として当然の権利ですが、労働者ひとりひとりの力には限界があり、そのために労働組合の制度があるわけですが、労働組合の存在しない企業においては、企業内で働きながら企業に対して権利を主張することは容易ではありません。
このようなときに力を発揮するのが弁護士です。
弁護士は、どんなに大きな企業や団体に対しても、常に、法律に基づいて権利を主張していきます。
労働者保護のための、あらゆる法律を駆使して、ひとりひとりの権利を確保するために戦います。
勤務先から不当な扱いを受けていると感じたら、迷うことなく、弁護士に相談してください。
2 管理監督者にあたらない労働者の1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える残業については時間外手当を支払わなければならないことは使用者も労働者もわかっているはずですが、個々のケースでは、細かい問題が多くあります。
名ばかり管理職という問題はマスコミでも騒がれたところですが、管理監督者にあたるか否かは、かなり微妙な判断を要する問題です。
労働時間なのか休憩時間なのかも場合によっては微妙な問題ですし、割増賃金の計算の基礎となる賃金の計算が問題となる場合もあります。
賃金規程の上で割増賃金込みの基本給を定めている場合の効力についてもむつかしい問題があります。
時間外・休日手当の未払いがあると思ったら、まず、弁護士にご相談ください。
3 職場でセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントを受けている場合、泣き寝入りをする必要はありません。
上司や同僚による性的関係の強要、暴行・傷害、脅迫・名誉棄損・侮辱等は、その行為者の不法行為責任が問題となるばかりでなく、企業の安全配慮義務違反あるいは使用者責任の問題となる場合もあります。
さらに、上司の部下に対する指導・叱責についても、職務上の地位・権限を逸脱し社会通念上の許容限度をこえた言動は不法行為とされます。
個々の具体的事例が違法となるか否かについては、裁判例に基づく判断が必要となりますので、まず、ご相談ください。
4 不当な解雇を受けたと感じたら、必ず弁護士の意見を聞くべきです。
解雇については、業務に起因する傷病による療養期間及びその後の30日間の解雇、産前・産後の休業期間及びその後の30日間の解雇について、労働基準法が解雇を禁止していますが、そうした解雇制限にあたらない場合であっても、解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権の濫用として無効とされます。
この客観的に合理的な理由とは、一般に、①労働能力・適格性の欠如・喪失、②職場規律違反、③経営上の必要性、があげられますが、これらに該当する事由がある場合であっても、その事由の重大性、解雇回避の手段の不存在及び宥恕すべき事情の不存在が認められない場合には、社会通念上の相当性を欠くものとして、解雇は無効となる場合が多いといえます。
勤務成績不良の解雇、人員削減の必要性による整理解雇等のケースごとに多数の判例が積み重ねられていますので、個々の事例を判例の事案と比較して判断する必要がありますから、解雇されたら、まず弁護士に相談されることをお勧めします。
5 期間の定めのある労働契約であっても、反復更新された場合には、(1)第1に、通算契約期間が5年を超える場合であって、労働者が契約期間満了までの間に、満了日の翌日から期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者はその申込みを承諾したものとみなされますし、(2)第2に、①契約期間満了時に更新せずに終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をして契約を終了させることと社会通念上同視できると認められるか、または、労働者が有期労働契約の契約期間満了時に契約の更新を期待することについて合理的な理由があると認められる場合であって、②契約期間満了までの間に更新の申込みをしたか、契約期間満了後遅滞なく有期労働契約締結の申込みをしており、③使用者がその申込みを拒絶することが客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、使用者は、従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。
この(1)(2)それぞれについて、具体的適用の際には細かい問題がありますので、労働契約の更新拒絶を受けた場合には、是非、弁護士に相談されることをお勧めします。
6 業務に従事している際あるいは通勤途中に死亡、負傷、疾病が発生した場合、まずは労災保険による救済が図られますが、企業が手続に誠意をもって協力しない場合はその協力をするように企業に要求することが必要となります。
また、「業務災害」「通勤災害」にあたるか否かの認定について、微妙な判断が必要となる場合があります。その認定は労働基準監督署が行いますが、その認定に不服な場合は、労災保険審査官への審査請求手続を経た上で、取消訴訟を提起することが必要です。
また、被災労働者又はその遺族は、労災保険給付を超える損害が発生したと認められる場合には、使用者の安全配慮義務違反に基づく債務不履行責任、または、土地工作物の設置・保存の瑕疵についての占有者・所有者の不法行為責任若しくは一般の不法行為責任を追及する損害賠償請求訴訟を提起することが可能です。
上記の審査請求、取消訴訟、損害賠償請求訴訟という手続は、本人が行うことも不可能ではありませんが、実際の損害内容を正確に把握した上で、法的な主張を整理するとともに、多数の証拠によって裏付けることが必要ですから、早い時点で、法律に関する知識及び手続に関するノウハウを豊富に有する弁護士に依頼されることをお勧めします。
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